理事長挨拶
令和2年(2020年)10月より、植山和正前理事長の後任として一般社団法人日本脊椎インストゥルメンテーション学会の第5代理事長を拝命いたしました。 本会は脊椎インストゥルメンテーションならびにこれに関する脊椎疾患の成因、病態、治療および予防についての普及に貢献することを目的として1992年に設立されて以来、28年の歴史と約1000名の会員数を有する本会の運営に携わらせていただくことを大変光栄に存じます。
脊椎インストゥルメンテーション手術は脊柱側弯症の治療を目的に体内埋め込み型の矯正器具を用いる術式として1962年に米国で生まれました。 爾来、60年ほどの間に脊柱変形、脊椎腫瘍、脊椎損傷、脊椎すべり症などによる変形性・破壊性・不安定性病変に対する脊柱再建術の主役として著しい発展を遂げてきました。 これにより従来治療することが不可能であった多くの疾患を治癒せしめ、自立性が失われた脊椎疾患患者の社会復帰に重要な役割を果たしてきました。 もともとテクノロジーの恩恵を大きく受ける領域なので、最小侵襲技術、コンピューター支援、各種生体材料の応用など技術革新のスピードも速いのが特徴です。 一方、手技が煩雑で体内に異物を留置するため、医療安全面での課題も少なくありません。 この領域では革新的な技術を柔軟に取り入れる一方、厳しく評価・検証することも極めて重要です。 この点において本学会の果たしてきた役割は大きなものがあります。
理事長就任に際し、今後、推進すべき活動として、(1)症例レジストリーシステム(JSIS-DB)の充実と発展、(2)インプラント委員会と適正医療検討委員会を統合させ、インプラントアーカイブスの運営と新規医療技術の評価検証活動の推進、(3)デジタル化技術を応用した教育研修活動の充実、(4)ホームページを刷新し脊椎インストゥルメンテーション手術関連情報の発信を挙げたいと思います。 これらは容易なことではありませんが、理事、監事、評議員、そして会員の皆様とともに、本会をよりよいものとすべく、全力で取り組んで参りたいと思います。 よろしくご支援・ご協力のほどお願い申し上げます。
日本脊椎インストゥルメンテーション学会
理事長 種市 洋
(獨協医科大学主任教授)
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日本脊椎インストゥルメンテーション学会事務局
日本脊椎インストゥルメンテーション学会
理事長 種市 洋 (獨協医科大学)
日本脊椎インストゥルメンテーション学会事務局
〒100-0003
東京都千代田区一ツ橋1-1-1 パレスサイドビル株式会社毎日学術フォーラム内
TEL:03-6267-4550、
FAX:03-6267-4555
E-mail:maf-jsis@mynavi.jp
設立について
設立に至る経緯
1982(昭和57)年はLuque法が紹介され、わが国における脊椎インストゥルメンテーションが大きく発展する契機となった年である。 その頃、建前論の横行する学会に不満を覚え、本音の討論をする検討会を作ってはどうかということになった。 会の名称を本音会(後に日本脊椎インストゥルメンテーション懇話会〈ほんね会〉に改称)とし、1983(昭和58)年11月に第1回本音会が開催された。 会の運営は千葉大学・大塚嘉則、慶應義塾大学・鈴木信正、慈恵医科大学・司馬立、近藤秀丸が中心となった。 第1回の参加者は24名であったが、年2回の開催は回を追うごとに趣旨に賛同する方が全国から参集するようになり、40−60名の会に発展した。 1992(平成4)年には、より多くの方が参加できるよう、研究会を組織化することになり、日本インストゥルメンテーション研究会が発足した。 本音会は、そのカジュアルな懇話会の雰囲気を保ったままレントゲンカンファレンスの形態でその後も続行され、20年を経た41回からは、年1回の開催となった。
設立時について
■設立時の名称
日本インストゥルメンテーション研究会
■設立時の事務局
〒108-0073 東京都港区三田1-4-17
東京都済生会中央病院 整形外科内
■設立時の役員
顧問:小野村敏信、金田清志、山本博司、原田征行、田島直也
沿 革
本学会の趣旨は脊椎外科、とくに脊椎インストゥルメンテーションについて忌憚のない本音の、そして明日の診療に役立つ討論を活発に行うことにある。 発会時から、発表時間の厳守を鉄則とし、時間超過後30秒で会場の照明を点灯し講演を打ち切ってきた。 優秀論文賞は第8回から設置されたが、その評価において、時間超過は大きなマイナス点となる。 当初はとまどう方が多かったが、最近では超過する発表はほとんどない。
わが国においてインストゥルメンテーションが百花繚乱の状態となる頃、適応、手技、治療法選択について地に足をつけた真剣な討論がなされてきたことは、極めて意義深かった。 脊椎インストゥルメンテーションは安易に行うべきでなく、脊椎手術の基本的手技に精通するのが第一歩であるとの考えを基本に沿革している。
- 1992年
- 4月1日に「日本インストゥルメンテーション研究会」として設立
- 1995年
- 第4回研究会から、その翌日に若手医師を対象に脊椎インストゥルメンテーションセミナーを開設
- 1996年
- シンボルマークが作られ、第5回研究会から使用される
- 2000年
- 第9回から日本脊椎インストゥルメンテーション学会と改称され、会期も2日間となる
- 2001年
- 第10回学会に際して学会誌発刊
※同年はセミナーを行わず、10周年記念国際セミナーを開催し、
海外からの演者7名の講演と、症例のパネルディスカッションが行われた - 2002年
- 岐阜大学・清水克時教授の発案で、対象を看護師に広げる
- 2006年
- 第15回米延策雄会長の時に組織改革に取りかかり、各種委員会の増設を行う
- 2007年
- 9月1日に事務局を獨協医科大学整形外科に移転
- 2009年
- 会則の大幅な改訂を行い、理事・評議員制とするとともに理事長を選出
※初代理事長には鈴木信正が選出された - 2010年
- 会誌は抄録号として残るが、論文集は、Journal of Spine Researchに統合された
- 2011年
- 4月に野原裕が第二代理事長に就任
- 2015年
- 4月に佐藤栄修が第三代理事長に就任
- 2016年
- 4月に植山和正が第四代理事長に就任
- 2020年
- 10月に種市洋が第五代理事長に就任
会員数の推移
1992年に「日本インストゥルメンテーション研究会」として87名の会員数で設立された本学会は、ついに会員数が1100名を超えました。
これはひとえに、会員の皆様のご支援とご協力の賜物と深く感謝申し上げます。